デジタル化に関する法制度の備忘録

行政手続等のオンライン化やキャッシュレス化など、デジタル化に関する法制度について書いてます。

e文書法について(1)構成、目的

(e文書法とは?)

 デジタル庁の所管する法律に、e文書法と呼ばれる法律があります。e文書法は、民間の事業者等に義続けられている文書の保管をデジタル化できるようにする法律で、保管を求められる文書の交付等のデジタル化についても定められています

 これまで、行政手続のデジタル化についての法制度を見てきましたが、民民間の手続のデジタル化等に関する法制度を、今回以降、勝手にデジタル庁を応援するという気持ちで見ていきたいと思います。

 なお、e文書法は、2004年に成立した法律の通称で、当時「民間事業者等が行う書面の保存等における情報通信の技術の利用に関する法律」および「民間事業者等が行う書面の保存等における情報通信の技術の利用に関する法律施行に伴う関係法律の整備等に関する法律」を指していたようですが、後の方の「整備法」は、個々の法律の条文を改正するもので、今は一本の法律として残っているものではありませんので、現在は、通常は、前者のことを指してe文書法と呼ぶことが多いです。(前者のみを指すことを示すために「e文書法(通則法)」などと書かれている場合などもあるようです。)まあ、どうでもいいですかね。

 

(e文書法の構成)

 e文書法は、全9条から構成されていて、民間事業者等による文書保存のデジタル化等を定めていますが、具体的には、以下のような内容となっています。

 第一条(目的)
 第二条(定義)
 第三条(電磁的記録による保存)
 第四条(電磁的記録による作成)
 第五条(電磁的記録による縦覧等)
 第六条(電磁的記録による交付等)
 第七条(条例等に基づく書面の保存等に係る情報通信の技術の利用の推進等)
 第八条(政令又は主務省令の制定改廃に伴う経過措置)
 第九条(主務省令)

 

 第1条、第2条では、目的規定、定義規定が置かれています。これは、通常の法律の構成として一般的です。

 次に、第3条から第6条では、保存、作成、縦覧、交付などのデジタル化を定めていますが、このように通則法として手続等のデジタル化を定めているところは、デジタル手続法と似ていますね。

 第7条では、地方自治体の定める手続等についての努力義務を定めています。その後は、省略でいいですかね。。

 

(e文書法の目的)

 第1条のe文書法の目的規定は、以下のように定められています。

(目的)
第一条 この法律は、法令の規定により民間事業者等が行う書面の保存等に関し、電子情報処理組織を使用する方法その他の情報通信の技術を利用する方法(以下「電磁的方法」という。)により行うことができるようにするための共通する事項を定めることにより、電磁的方法による情報処理の促進を図るとともに、書面の保存等に係る負担の軽減等を通じて国民の利便性の向上を図り、もって国民生活の向上及び国民経済の健全な発展に寄与することを目的とする。

 

 民間事業者が保存すしなければならない紙の文書について、デジタル化ができるようにするための要件を定めることが目的ということが分かりますね。

 また、後半部分では、より大きな目的が書かれていて、デジタル化の促進により、民間事業者の負担軽減や国民の利便性向上を図り、「国民生活の向上と国民経済の健全な発展に寄与する」とされています。当時の政府のe-Japan重点計画を踏まえて作成されているだけあって、高邁な目的が掲げられていますね。

 

 少し長くなってきたので、今回は目的規定までにして、具体的な手続等のデジタル化に関する規定は、次回以降見ていきたいと思います。e文書法を紹介する記事などは、それなりにあるようですが、実際の条文を見るということで、デジタル庁へのリスペクトを示すことができれば、と勝手ながら思っています。

 

(参考)

www.digital.go.jp