(保存のデジタル化)
前回にも書きましたが、e文書法では、書面等での保存が定められている場合に、保存や作成、交付などをデジタル化ができるようにする規定が、第3条から第6条に置かれています。
まず、第3条では、書面による保存のデジタル化について、以下のように定められています。
(電磁的記録による保存)
第三条 民間事業者等は、保存のうち当該保存に関する他の法令の規定により書面により行わなければならないとされているもの(主務省令で定めるものに限る。)については、当該法令の規定にかかわらず、主務省令で定めるところにより、書面の保存に代えて当該書面に係る電磁的記録の保存を行うことができる。
2 (略)
例によって赤字の部分を見てもらえればと思いますが、書面での保存が定められている場合について、各省庁が省令等で定めることで、書面に代えて電子データ(電磁的記録)での保存を可能とすることができる、ということが定められています。
ただし、このe文書法の第3条で直接電子データでの保存が可能となるわけではなくて、各省庁が省令等を定めることで、デジタル化が可能となります。これは、デジタル手続法やキャッシュレス法と同様の仕組みですね。
なお、e文書法に基づいて、デジタル化を認める要件は、各省庁の省令等によって、というか、元々の法律で保存が求められている趣旨や文書の性質によって異なっていますので、注意してください。
(作成のデジタル化)
次に、e文書法の第4条では、作成のデジタル化について定められています。
(電磁的記録による作成)
第四条 民間事業者等は、作成のうち当該作成に関する他の法令の規定により書面により行わなければならないとされているもの(当該作成に係る書面又はその原本、謄本、抄本若しくは写しが法令の規定により保存をしなければならないとされているものであって、主務省令で定めるものに限る。)については、当該他の法令の規定にかかわらず、主務省令で定めるところにより、書面の作成に代えて当該書面に係る電磁的記録の作成を行うことができる。
2、3 (略)
法律等で、書面で作成等を行うこととされている場合でも、主務省令で定めることで、パソコン等を利用して作成した電磁的記録で行うことができることが定められていますね。
e文書法の目的は、民間事業者等の文書の保存等をデジタル化して、負担軽減を図ることですが、保存についてデジタル化する前提として、保存の対象となる原本等の作成自体をデジタル化しなければいけませんので、このような規定が設けられています。
なお、文書の保存のデジタル化というe文書法の目的にかんがみて、作成のデジタル化ができる文書については、他の法令で保存が義務づけられているものに限るという要件が課されています(条文中の下線の部分です。)。どんな文書でも、省令等で定めればデジタル化できるわけではなく、あくまで保存が義務づけられている文書が対象、ということはポイントになると思います。(間違って理解している人を、何人も見ているので、ポイントかなと僕が勝手に思ってるだけなんですが。。)
e文書法でデジタル化可能となる4個の手続のうち、半分終わりましたので、とりあえず、今回は、ここまでとして、次回は、残りの縦覧等、交付等について、見ていきたいと思います。
(参考)