デジタル化に関する法制度の備忘録

行政手続等のオンライン化やキャッシュレス化など、デジタル化に関する法制度について書いてます。

デジタル手続法に基づく主務省令(2)総務省令

(デジタル手続法に基づく総務省令)

 前回は、デジタル手続法に基づく主務省令について、法務省の例を見てみましたが、今回は、総務省の「主務省令」を見てみたいと思います。

 デジタル手続法に基づく、法務省の「主務省令」として定められているのは、「総務省関係法令に係る情報通信技術を活用した行政の推進等に関する法律施行規則」になります。

 全体の構成としては、以下の通り15条で構成されています。法務省令は6条でしたので、条文数だけで見ると2.5倍の分量になっていますね。

第一条(趣旨)
第二条(定義)
第三条(申請等に係る電子情報処理組織)
第四条(電子情報処理組織による申請等)
第五条(情報通信技術による手数料の納付)
第六条(申請等のうちに電子情報処理組織を使用する方法により行うことが困難又は著しく不適当と認められる部分がある場合)
第七条(処分通知等に係る電子情報処理組織)
第八条(電子情報処理組織による処分通知等)
第九条(処分通知等を受ける旨の表示の方式)
第十条(処分通知等のうちに電子情報処理組織を使用する方法により行うことが困難又は著しく不適当と認められる部分がある場合)
第十一条(電磁的記録による縦覧等)
第十二条(電磁的記録による作成等)
十三条(氏名又は名称を明らかにする措置)
第十四条(行政機関の保有する情報の公開に関する法律等に基づく申請等に係る特例)
第十五条(委任)

 

 構成としては、第1条、第2条で、趣旨、定義といった総則的なものが置かれた後に、第3条から第6条で、申請について、第7条から第10条で、処分通知について、それぞれ定めています。

 また、第11条から第13条では、縦覧、作成、電子署名について定めており、デジタル手続法の規定に対応した作りになっています。

 なお、第14条では、情報公開に関する特例が、第15条では、行政機関等の定めへの委任規定が置かれています。

 

(申請等に関する規定)

 具体的な条文を見てみますと、第4条では、申請等の要件を定めていますが、「行政機関の定めるところにより、」とされていますので、具体的なことは、各手続きについての行政機関の定めに委任されているということになりますね。

(電子情報処理組織による申請等)
第四条 情報通信技術活用法第六条第一項の規定により電子情報処理組織を使用する方法により申請等を行う者は、行政機関等の定めるところにより、当該行政機関等の指定する電子計算機に備えられたファイルに記録すべき事項又は当該申請等を書面等により行うときに記載すべきこととされている事項を、申請等をする者の使用に係る電子計算機から入力して、申請等を行わなければならない。

 

 また、デジタル手続法第6条第6項の部分オンライン規定については、主務省令の第6条で規定されています。

第六条 情報通信技術活用法第六条第六項に規定する主務省令で定める場合は、次に掲げる場合とする。
一 申請等をする者について対面により本人確認をするべき事情があると行政機関等が認める場合
二 申請等に係る書面等のうちにその原本を確認する必要があるものがあると行政機関等が認める場合

 

 ちなみに、処分通知に関する第8条、第10条も、ほぼ同様の作りになっています。こうして見てみると、実質的には(下位の法令等に委任している点で)、法務省の「主務省令」とあまり変わらない気もしますね。総務省の「主務省令」についても、手続きに関しては、行政機関等の裁量に任されている部分が大きいと言えると思われます。

(ところで、なぜ、第1号だけ「事情」なんでしょうかね。他は、「必要」となっているのですが。。)

 

(縦覧、作成の規定)

 最後に、縦覧、作成に関する規定を見ておきたいと思います。第11条、第12条になります。

(電磁的記録による縦覧等)
第十一条 行政機関等は、情報通信技術活用法第八条第一項の規定により電磁的記録に記録されている事項又は当該事項を記載した書類により縦覧等を行うときは、当該事項をインターネットを利用する方法、当該行政機関等の事務所に備え置く電子計算機の映像面に表示する方法又は電磁的記録に記録されている事項を記載した書類による方法により縦覧等を行うものとする。

(電磁的記録による作成等)
第十二条 行政機関等は、情報通信技術活用法第九条第一項の規定により電磁的記録により作成等を行うときは、当該作成等を書面等により行うときに記載すべきこととされている事項を当該行政機関等の使用に係る電子計算機に備えられたファイルに記録する方法又は磁気ディスク(これに準ずる方法により一定の事項を確実に記録しておくことができる物を含む。)をもって調製する方法により作成等を行うものとする。

 

 「縦覧等」については、インターネット、備え置きパソコン、書面と段階を追って規定がされていて、整合性がとれていていいなあと思います(個人の感想です。)。一方で、「作成等」については、パソコンのファイルと磁気ディスク(?)となってますね。。この磁気ディスクは、フロッピーディスクでしょうか。。パソコンのハードディスクなら、きっと前者ですよねえ。。謎が深まりました。。

 

 法務省令のときと同様に、各行政機関がどのような定め等を置いているのかが気になるところですが、もう少し、他の省の例も確認してみたいと思います。(実を申しますと、建制順に見ていこうとして、ついつい省庁再編前のイメージで、法務省から始めてしまい、今回、総務省に戻ったのですが、次は、建制順で外務省の例を見るか、手続の多そうな国交省厚労省の例を見るか、迷っているところです。。)

 

(参考)

ura49.hateblo.jp