デジタル化に関する法制度の備忘録

行政手続等のオンライン化やキャッシュレス化など、デジタル化に関する法制度について書いてます。

デジタル社会の実現に向けた重点計画(閣議決定)

(デジタル社会の実現に向けた重点計画とは?)

 前回、デジタル臨調の一括見直しプランを見てみましたが、その後、6月7日には、「デジタル社会の実現に向けた重点計画」が閣議決定されました。

 この重点計画は、デジタル社会の形成のために政府が迅速かつ重点的に実施すべき施策等を定めるものとして、デジタル社会形成基本法第 37 条第1項で策定が求められている重点計画なのですが、同時に、デジタル手続法第4条第1項に規定する情報システム整備計画、官民データ活用推進基本法第8条第1項に規定する官民データ活用推進基本計画としても策定されていて、一石三鳥の(少し違うかもしれませんが)意味を持つ重要な計画となっています。

 

◯デジタル社会形成基本法

(デジタル社会の形成に関する重点計画の作成等)
第三十七条 政府は、この章の定めるところにより、デジタル社会の形成に関する重点計画(以下この章において「重点計画」という。)を作成しなければならない。
2〜8 (略)
 
◯情報通信技術を活用した行政の推進等に関する法律(デジタル手続法)
(情報システム整備計画)
第四条 政府は、情報通信技術を利用して行われる手続等に係る国の行政機関等の情報システム(次条第四項を除き、以下単に「情報システム」という。)の整備を総合的かつ計画的に実施するため、情報システムの整備に関する計画(以下「情報システム整備計画」という。)を作成しなければならない。
2〜5 (略)
 
◯官民データ活用推進基本法
(官民データ活用推進基本計画等)
第八条 政府は、官民データ活用の推進に関する施策の総合的かつ効果的な推進を図るため、官民データ活用の推進に関する基本的な計画(以下「官民データ活用推進基本計画」という。)を定めなければならない。
2〜9 (略)
 

(昨年12月の重点計画の改定)

 今回の重点計画は、昨年12月に閣議決定された重点計画の改定という位置づけになっています。前回の策定から半年で浮かび上がった課題に対応するために改定されたということです。

 前回ご紹介したのですが、昨年12月には、デジタル臨調で、デジタル・規制・行政改革に通底する構造改革のための「デジタル原則」が策定されていました。この「デジタル原則」は、昨年12月の重点計画に盛り込まれることで閣議決定の位置付けとなっていたのですが、今回は、6月3日のデジタル臨調の「一括見直しプラン」が、重点計画に盛り込まれて閣議決定の位置づけとなっています。(すごく大雑把ですが、閣議決定として定められると、各省庁への拘束力が強くなるので、実効性が高まります。)

 

(重点計画の主な内容)

 重点計画は、3重の法定計画を兼ねているだけあって、非常に分量が多いのですが、デジタル社会の実現に向けた取組の全体像について、司令塔であるデジタル庁のみならず、各省庁の取組も含め、工程表などスケジュールと併せて、明らかにするという重点計画の性格からすると、「第6 デジタル社会の実現に向けた施策」や「第7 今後の推進体制」に記載されている部分がポイントなのかなと思います。

 全部紹介するのは難しいので、第6、第7の目次だけ示すと、以下のような構成になっています。

 

第6 デジタル社会の実現に向けた施策

1.国民に対する行政サービスのデジタル化

2.暮らしのデジタル化

3.規制改革

4.産業のデジタル化

5.デジタル社会を支えるシステム・技術

6.デジタル社会のライフスタイル・人材

第7 今後の推進体制

1.デジタル庁の役割と政府における各種会議

2.地方公共団体等との連携・協力

3.民間事業者等との連携・協力

 

 第7の1.の中では、政府におけるデジタル改革体制の強化などが、今回、新たに盛り込まれています。

 なお、デジタル臨調の一括見直しプランは、「第5 デジタル化の基本戦略」の「1.デジタル社会の実現に向けた構造改革」に盛り込まれています。すみません、そういう意味では、基本戦略などももちろん大事ですし、全体的に大事ですね。。ご関心のある方は、ぜひ本文に当たってみてください。

 

 前回、今回と法制度とは関係ないですが、最近の動きですし、今後の法制度に繋がっていくような話でもありますので、なんとなく紹介してしまいました。なお、報道等によれば、重点計画は、今後は、6月に策定されることとなるようです。

 

(参考)

www.digital.go.jp