デジタル化に関する法制度の備忘録

行政手続等のオンライン化やキャッシュレス化など、デジタル化に関する法制度について書いてます。

マイナポータルの法的根拠

(マイナポータルとは?)

 すでに皆さんご存知かもしれませんが、マイナポータルは、政府(デジタル庁)が運営しているオンラインサービスの窓口のことで、そのシステムは様々な行政手続のオンライン手続などで利用されています。

 以前にもご紹介しましたが、マイナンバー、マイナンバーカード、マイナポータルの関係については、河野大臣の「日本を前に進める」(PHP新書、201頁)に、以下のように、とても分かりやすく記載されていますので、再度引用させていただきます。

マイナンバーとマイナンバーカードとマイナポータルの関係がよくわからない、という声を聞きます。マイナンバーは、あなた固有の番号で、行政組織が持っているさまざまなデータを 連携させるために使います。 マイナンバーカードはあなたのマイナンバー情報を明記した本人確認書類であるとともに、オンラインであなた本人を証明する情報を暗号化し、ICチップに格納したものです。マイナポータルとは、マイナンバーによるあなただけのオンライン手続き窓口です。

 

(マイナポータルの法的根拠)

 そんなマイナポータルについてですが、先日、たまたま以下のような記事を発見しました。

www.asahi.com

 会員でないと見れないので、詳しくはわかりませんが、マイナポータルの法定根拠がマイナンバー法の附則にしかない、という内容の記事のようです。

 気になったので調べてみたところ、マイナポータルの関連規定としては、マイナンバー法の附則第6条に、情報提供等記録開示システムの設置や手続等のデジタル化のための機能充実の検討規定が置かれているだけ、ということのようです。

行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律(番号法
 (検討等)
附則第六条
5 政府は、この法律の施行後一年を目途として、情報提供等記録開示システム総務大臣の使用に係る電子計算機と第二十三条第三項に規定する記録に記録された特定個人情報について総務大臣に対して第三十条第二項の規定により読み替えられた行政機関個人情報保護法第十二条の規定による開示の請求を行う者の使用に係る電子計算機とを電気通信回線で接続した電子情報処理組織であって、その者が当該開示の請求を行い、及び総務大臣がその者に対して行政機関個人情報保護法第十八条の規定による通知を行うために設置し、及び運用されるものをいう。以下この項及び次項において同じ。)を設置するとともに、年齢、身体的な条件その他の情報提供等記録開示システムの利用を制約する要因にも配慮した上で、その活用を図るために必要な措置を講ずるものとする。
6 政府は、情報提供等記録開示システムの設置後、適時に、国民の利便性の向上を図る観点から、民間における活用を視野に入れて、情報提供等記録開示システムを利用して次に掲げる手続又は行為を行うこと及び当該手続又は行為を行うために現に情報提供等記録開示システムに電気通信回線で接続した電子計算機を使用する者が当該手続又は行為を行うべき者であることを確認するための措置を当該手続又は行為に応じて簡易なものとすることについて検討を加え、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとする。
一 法律又は条例の規定による個人情報の開示に関する手続(前項に規定するものを除く。)
二 個人番号利用事務実施者が、本人に対し、個人番号利用事務に関して本人が希望し、又は本人の利益になると認められる情報を提供すること。
三 同一の事項が記載された複数の書面を一又は複数の個人番号利用事務実施者に提出すべき場合において、一の書面への記載事項が他の書面に複写され、かつ、これらの書面があらかじめ選択された一又は複数の個人番号利用事務実施者に対し一の手続により提出されること。

 

(情報システムの法的根拠)

 国の情報システムの整備については、デジタル手続法で、情報システム整備計画にしたがって、整備を行うということが定められています。

 (国の行政機関等による情報システムの整備等)
第五条 国の行政機関等は、情報システム整備計画に従って情報システムを整備しなければならない。

 ですが、個々のシステムについては、法令上での規定ぶりはどうなっているんでしょうか。

 例として、国税e-Tax地方税のeLTAXについて、関係法令の規定を調べてみたのですが、e-Taxはデジタル手続法の主務省令に規定があり、eLTAXは地方税法に用語の定義とともに規定がおかれていました。なお、第762条第1号の地方税関係手続用電子情報処理組織と、第790条の2の特定徴収金手続用電子情報処理組織のいずれも、eLTAXのシステムの既定に当たると思います。(※当初の記事で、引用条文が不適切だったので、修正しました。)

 

国税関係法令に係る情報通信技術を活用した行政の推進等に関する省令(平成十五年財務省令第七十一号)
 (申請等に係る電子情報処理組織等)
第三条 情報通信技術活用法第六条第一項に規定する主務省令で定める電子情報処理組織は、国税庁の使用に係る電子計算機と申請等を行う者の使用に係る電子計算機(次条第七項、第五条第一項及び第二項並びに第五条の二第一項において「特定電子計算機」という。)とを電気通信回線で接続した電子情報処理組織とする。

 

地方税法(昭和二十五年法律第二百二十六号)
 (用語の意義)
第七百六十二条 この章において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
一 地方税関係手続用電子情報処理組織 行政機関の長(地方団体の長、国税庁長官国税局長、税務署長その他政令で定める者をいう。ロにおいて同じ。)及び機構並びにイに掲げる通知を行う者及びロに掲げる通知を受ける者の使用に係る電子計算機(入出力装置を含む。)を相互に電気通信回線で接続した電子情報処理組織をいう。
イ この法律又はこれに基づく命令若しくは条例若しくは規則(ロにおいて「地方税関係法令」という。)の規定に基づき地方団体の長に対して行われる申告、申請、届出その他の通知(ロに掲げるものを除く。)
ロ 地方税関係法令の規定に基づき行政機関の長が行う通知(書面等(書面、書類、文書その他文字、図形その他の人の知覚によつて認識することができる情報が記載された紙その他の有体物をいう。)に記載され、又は電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他の人の知覚によつては認識することができない方式で作られる記録であつて、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。)に記録されている事項を閲覧させ、又は記録させることを含む。)
二・三 (略)

 

 ただ、いずれにしても、マイナポータルの法的根拠が脆弱なのか判断がつきかねるのですが、その重要性に鑑みて、ということなのかなと思います。。

 

(参考)

www.digital.go.jp