デジタル化に関する法制度の備忘録

行政手続等のオンライン化やキャッシュレス化など、デジタル化に関する法制度について書いてます。

車検証のデジタル化(2023年1月〜)について

(車検証のデジタル化)

 2023 年1 月4 日から、車検の際に「電子車検証」が交付されるようになりました。従来の紙の車検証(A4サイズ)が、ICタグが貼付された少し厚手のA6サイズのものになります。券面の記載事項も変わり、券面には、車両の基礎的情報のみが記載され、有効期間や所有者などは記載されなくなります。車検時などに書き換えが必要となる情報は、ICタグの中の情報を書き換えることで対応ができるようにするためです。

 ICタグの記載内容は、スマホのアプリで読み取れるほか、印刷もできますが、結局、ICタグの記載情報をA4で印刷して、新たな車検証と一緒に保管するので意味がないじゃないか、、というご意見もあるようです。(下記の動画にありました。。)

【車検証の電子化】部長の見解を聞いてみた - YouTube 

 ICタグの内容を書き換えるだけで済むので、車検のたびに車検証交付する手続(時間やコスト)が不要になるというメリットもあるのですが、情報が可視化されていない不便のほうが目立ってしまっていますね。。なお、新たな車検証は、ICタグを書き換えて、長期間使うことになるので、丁寧に扱う必要があるなあ、、と個人的には思いました。(上記の動画の中で、女性の方が、お客さんの車検証の扱いが心配と仰ってましたが、同感です。)

 

(車検証閲覧アプリ)

 電子車検証の券面には、有効期間や使用者住所、所有者情報が記載されないため、車検証閲覧アプリを活用してこれらの情報を確認することになります。そのための車検証閲覧アプリが、国土交通省からリリースされています。

 車検証閲覧アプリでは、車検証情報の確認のほか、車検証情報ファイルの出力(PDF等)などができるようです。多くの人は、そのPDFを印刷して、車検証と一緒に保管するということになるのかもしれないですね。

 

(関係条文)

 電子車検証については、道路運送車両法の以下の条文が根拠になっています。

 施行規則には、ICタグに電子データ(「電子的方法、磁気的方法その他の人の知覚によつては認識することができない方法」で記載すべき情報が定められています。

 

道路運送車両法(昭和二十六年法律第百八十五号)
 (自動車の検査及び自動車検査証)
第五十八条 自動車(国土交通省令で定める軽自動車(以下「検査対象外軽自動車」という。)及び小型特殊自動車を除く。以下この章において同じ。)は、この章に定めるところにより、国土交通大臣の行う検査を受け、有効な自動車検査証の交付を受けているものでなければ、これを運行の用に供してはならない。
2 自動車検査証は、車台番号、使用者の氏名又は名称その他国土交通省令で定める事項が記載され、かつ、これらの事項、有効期間その他国土交通省令で定める事項(以下「自動車検査証記録事項」という。)が電子的方法、磁気的方法その他の人の知覚によつては認識することができない方法により記録されたカードとする。

 

道路運送車両法施行規則(昭和二十六年運輸省令第七十四号)
(自動車検査証の記録事項)
第三十五条の四 法第五十八条第二項後段に規定する国土交通省令で定める事項は、次のとおりとする。
一 自動車検査証の有効期間の満了する日
二 使用者の住所
三 所有者の氏名又は名称及び住所(当該自動車の所有者が当該自動車に係る登録識別情報を保有していない場合に限る。)
四 使用の本拠の位置
五〜七 (略)

 

 具体の条文も確認できたので、以上にします。ちょっと思ったのですが、新しい車検証って、法律では「カード」とされていますね。A6サイズは、少し大きめな気がしますね。。

 

(参考)

www.denshishakensho-portal.mlit.go.jp