デジタル化に関する法制度の備忘録

行政手続等のオンライン化やキャッシュレス化など、デジタル化に関する法制度について書いてます。

第211回国会のデジタル関係法(6)配偶者暴力防止法の改正

配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律の一部を改正する法律)

 今年の通常国会で成立した法律のうち、デジタル関係の法改正を見ていく6回目ですが、今回は、閣法24号として提出された「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律の一部を改正する法律」(配偶者暴力防止法の改正)について見てみます。

 提出理由は以下の通りとなっています。

最近における配偶者からの暴力等の実情に鑑み、国が定める基本的な方針及び都道府県が定める基本的な計画の記載事項の拡充、関係者による情報交換及び支援内容の協議を行う協議会に関する規定の創設等の措置を講ずるとともに、接近禁止命令等の申立てをすることができる被害者の範囲の拡大、保護命令の期間の伸長等の保護命令制度の拡充等の措置を講ずる必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。 

 

 最近における配偶者からの暴力等の実情・・・が、どういうものなのかは、よくわからないのですが、、この法律では、「保護命令」という、「被害者からの申立てに基づき、裁判所が、相手配偶者に対して、被害者の身辺へのつきまといや住居等の付近のはいかい等の一定の行為を禁止する命令を発令する制度」(概要資料より)が設けられていて、この保護命令制度を拡充する改正などが今回行われています。

 

(「保護命令制度」の拡充)

 概要資料からの抜粋ですが、以下のような改正が行われています。赤字等は当方で付したものですが、デジタル技術を活用した方法が規制の対象に追加されています。

③ 電話等禁止命令の対象行為に、緊急時以外の連続した文書の送付・SNS等の送信、緊急時以外の深夜早朝(午後10時~午前6時)のSNS等の送信、性的羞恥心を害する電磁的記録の送信、位置情報の無承諾取得を追加
④ 被害者と同居する未成年の子への接近禁止命令の要件(注1)を満たす場合について、当該子への電話等禁止命令(注2)を創設
注1:被害者への接近禁止命令の要件のほか、被害者が当該子に関して配偶者と面会することを余儀なくされることを防止するため必要があること、15歳以上の子についてはその同意があること 等
注2:対象行為は、監視の告知等、著しく粗野乱暴な言動、無言電話、緊急時以外の連続した電話・FAX・メール・SNS等送信、緊急時以外の深夜早朝の電話・FAX、汚物等の送付等、名誉を害する告知等、性的羞恥心を害する事項の告知等、位置情報の無承諾取得

 

 長いので、一部だけ抜粋していますが、以下のような規定が追加となっています。

 (接近禁止命令等)
第十条 
2 前項の場合において、同項の規定による命令(以下「接近禁止命令」という。)を発する裁判所又は発した裁判所は、被害者の申立てにより、当該配偶者に対し、命令の効力が生じた日以後、接近禁止命令の効力が生じた日から起算して一年を経過する日までの間、被害者に対して次に掲げる行為をしてはならないことを命ずるものとする。
五 緊急やむを得ない場合を除き、午後十時から午前六時までの間に、電話をかけ、通信文等をファクシミリ装置を用いて送信し、又は電子メールの送信等をすること。
八 その性的羞恥心を害する事項を告げ、若しくはその知り得る状態に置き、その性的羞恥心を害する文書、図画、電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。以下同じ。)に係る記録媒体その他の物を送付し、若しくはその知り得る状態に置き、又はその性的羞恥心を害する電磁的記録その他の記録を送信し、若しくはその知り得る状態に置くこと。
九 その承諾を得ないで、その所持する位置情報記録・送信装置(当該装置の位置に係る位置情報(地理空間情報活用推進基本法(平成十九年法律第六十三号)第二条第一項第一号に規定する位置情報をいう。以下この号において同じ。)を記録し、又は送信する機能を有する装置で政令で定めるものをいう。以下この号及び次号において同じ。)(同号に規定する行為がされた位置情報記録・送信装置を含む。)により記録され、又は送信される当該位置情報記録・送信装置の位置に係る位置情報を政令で定める方法により取得すること。
十 その承諾を得ないで、その所持する物に位置情報記録・送信装置を取り付けること、位置情報記録・送信装置を取り付けた物を交付することその他その移動に伴い位置情報記録・送信装置を移動し得る状態にする行為として政令で定める行為をすること。

 

 電子メールの送信記録媒体の送付は、よく見る形ですが、位置情報の記録・送信というのは、少し新しいですね。地理空間情報活用推進基本法の定義を引用するとうのも勉強になります。。

 

(電子情報処理組織による申立て)

 概要資料には、最下部に小さく、「上記のほか、民事訴訟手続のIT化等を踏まえ、保護命令手続に係る所要の規定等を整備。」とあります。この点については、電子情報処理組織による申立て等を定める、第14条の4が新たに設けられています。

 新設された条文は以下のとおりです。

 (電子情報処理組織による申立て等)
第十四条の四 保護命令に関する手続における申立てその他の申述(以下この条において「申立て等」という。)のうち、当該申立て等に関するこの法律その他の法令の規定により書面等(書面、書類、文書、謄本、抄本、正本、副本、複本その他文字、図形等人の知覚によって認識することができる情報が記載された紙その他の有体物をいう。次項及び第四項において同じ。)をもってするものとされているものであって、最高裁判所の定める裁判所に対してするもの(当該裁判所の裁判長、受命裁判官、受託裁判官又は裁判所書記官に対してするものを含む。)については、当該法令の規定にかかわらず、最高裁判所規則で定めるところにより、電子情報処理組織(裁判所の使用に係る電子計算機(入出力装置を含む。以下この項及び第三項において同じ。)と申立て等をする者の使用に係る電子計算機とを電気通信回線で接続した電子情報処理組織をいう。)を用いてすることができる
2 前項の規定によりされた申立て等については、当該申立て等を書面等をもってするものとして規定した申立て等に関する法令の規定に規定する書面等をもってされたものとみなして、当該申立て等に関する法令の規定を適用する。
3 第一項の規定によりされた申立て等は、同項の裁判所の使用に係る電子計算機に備えられたファイルへの記録がされた時に、当該裁判所に到達したものとみなす
4 第一項の場合において、当該申立て等に関する他の法令の規定により署名等(署名、記名、押印その他氏名又は名称を書面等に記載することをいう。以下この項において同じ。)をすることとされているものについては、当該申立て等をする者は、当該法令の規定にかかわらず、当該署名等に代えて、最高裁判所規則で定めるところにより、氏名又は名称を明らかにする措置を講じなければならない

 

 第1項は、情報システム(電子情報処理組織)等を利用して申立ができること、第2項は、電磁的方法を書面とみなす「みなし規定」、第3項は、PCのファイルへの記載時を到達時期とする規定、第4項は電子署名(氏名又は名称を明らかにする措置)の規定になっていて、概ね、行政手続に関する申請等のデジタル化に関するデジタル手続法等の上部と同じような構造となっています。

 

 少し長くなってしましたので、今回はこれで終わりにします。

 

(参考)

www.cao.go.jp