(個人データとは?)
学校とデジタル化という大きなテーマで、ここまで個人情報のことを見てきていますが、名簿作成や成績処理など、通常はパソコン上で行い、データで保存していると思います。
個人情報をデータで保存したら、個人データになる、と言いたいところですが、法律の定義では、「個人データ」は、「個人情報」を容易に検索することができるように体系的にまとめた「個人情報データベース等」を構成する「個人情報」をいう(個人情報保護法第 16 条第3項)とされています。通常デジタル化すれば容易に検索できると思いますので、データで保存した個人情報は個人データと考えても、概ね問題はないと思います。。
このように、「個人情報」が「個人データ」に該当する場合、「個人データ」ではない「個人情報」の場合よりも、個人情報保護法上での取扱いの規制が多くなります。
なので、学校のデジタル化が進み、児童生徒の個人データを扱う場合には、十分に注意が必要となる、となりそうですが、個人情報保護法上の「個人データ」の規定は、民間の事業者に関するものですので、私立学校のみの話となります。
(個人情報ファイルとは?)
では、公立学校は、データ化された個人情報の扱いに注意しなくてもいいか、というと、そういうわけではなく、データ化された個人情報の集合物は「個人情報ファイル」という形で規制されていて、行政機関が個人情報ファイルを保有しようとするときに、個人情報保護委員会に通知が必要だったり、どのような個人情報ファイルを保有しているかを「個人情報ファイル簿」として作成・公表しなければならないことなどが定めれられています(第74条、第75条)。
ちなみに、個人情報ファイルの定義は以下のとおりです。
(定義)
第六十条
2 この章及び第八章において「個人情報ファイル」とは、保有個人情報を含む情報の集合物であって、次に掲げるものをいう。
一 一定の事務の目的を達成するために特定の保有個人情報を電子計算機を用いて検索することができるように体系的に構成したもの
二 前号に掲げるもののほか、一定の事務の目的を達成するために氏名、生年月日、その他の記述等により特定の保有個人情報を容易に検索することができるように体系的に構成したもの
個人情報ファイルは、民間事業者の個人情報データベース等に該当しますので、個人データに該当するのは、「個人情報ファイルを構成する保有個人情報」ということになりますね。
対応関係は以下のとおりです。ただ、知っていても、個人情報を扱っている保護者と対話するなどの、かなり特殊な場合にしか役に立たないとは思います。。
個人情報データベース等 → 個人情報ファイル
個人データ → 個人情報保護ファイルを構成する保有個人情報
行政機関の場合には、保有個人情報の利用の制限は、個人情報ファイルを構成していても、いなくても基本的に変わりませんが、データ化された個人情報については、情報セキュリティの観点から、各自治体のルールで、取扱いに制約が設けられている場合もあると思います。
(ポイント)
・「個人データ」は、「個人情報」をデータ化して検索可能な形にしたもの。
・公立学校の場合は、「個人データ」に関する規定は適用されない。
(公立学校を含む行政機関には「個人情報ファイル」という概念がある。が、あまり気にしなくてもよい。)