デジタル化に関する法制度の備忘録

行政手続等のオンライン化やキャッシュレス化など、デジタル化に関する法制度について書いてます。

デジタル法令用語:ファイル

(だいたいの意味)

 「ファイル」という言葉は、テキストファイル、エクセルファイルなど、なんとなく使っていますが、IT関連の用語としては、データをコンピューターで扱うための一定のかたまりとしての単位のことです。法令用語の「ファイル」も、このようなデータのかたまりというイメージで見るとわかりやすいのかなと思います。

 個人的には、個人情報保護法ができたときに、「個人情報保護ファイル」という用語が出てきたときに、有体物としてのファイル(簿冊)をイメージしていて、最初よく意味がわからなかったのを思い出しますが、物理的な「登録簿」をデジタル化する際に、「登録ファイル」のような語で規定し直しているような例もあります。いずれにしても、「ファイル」という時には、ほぼ有体物ではなくデータのかたまりですね。(「行政文書ファイル」のような例外はありますが。。)

 

(法令上の定義)

 法令上の定義ですが、「個人情報保護ファイル」の定義はあるものの、「ファイル」を定義した規定はないようです。

個人情報の保護に関する法律(平成十五年法律第五十七号)
(定義)
第六十条
2 この章及び第八章において「個人情報ファイル」とは、保有個人情報を含む情報の集合物であって、次に掲げるものをいう。

 

 個人情報の部分を除いて読んでみると、「ファイルは情報の集合物」ということが分かるかなと思います。

 ちなみに、デジタル化された手続等の関係では、電子計算機に備えられたファイルという用例が、数多く見られます。

会計法(昭和二十二年法律第三十五号)
第四十九条の三 この法律又はこの法律に基づく命令の規定による書類等の提出については、当該書類等が電磁的記録で作成されている場合には、電磁的方法(電子情報処理組織を使用する方法その他の情報通信の技術を利用する方法であつて財務大臣が定めるものをいう。次項において同じ。)をもつて行うことができる。
② 前項の規定により書類等の提出が電磁的方法によつて行われたときは、当該書類等の提出を受けるべき者の使用に係る電子計算機に備えられたファイルへの記録がされた時に当該提出を受けるべき者に到達したものとみなす。

 

(用例)

道路運送車両法(昭和二十六年法律第百八十五号)
(登録の一般的効力)
第四条 自動車(軽自動車、小型特殊自動車及び二輪の小型自動車を除く。以下第二十九条から第三十二条までを除き本章において同じ。)は、自動車登録ファイルに登録を受けたものでなければ、これを運行の用に供してはならない。

 

廃棄物の処理及び清掃に関する法律(昭和四十五年法律第百三十七号)
(電子情報処理組織の使用)
第十二条の五
8 情報処理センターは、第一項又は第二項の規定による登録及び第三項又は第四項の規定による報告に係る情報をその使用に係る電子計算機に備えられたファイルに記録し、これを当該報告を受けた日から環境省令で定める期間保存しなければならない。

 

 ファイルというのは、普段から何気なく使っていますが、意外に法令用語でも使われていておどろきました。今回はここまでで。