デジタル化に関する法制度の備忘録

行政手続等のオンライン化やキャッシュレス化など、デジタル化に関する法制度について書いてます。

学校とデジタル化:個人情報の具体例(個人情報(3))

(個人情報の具体例)  

 令和5年3月に「教育データの利活用に係る留意事項」という文書が、文部科学省から出されています。この中に、個人情報の扱いについても、かなり丁寧に記載されていて、具体例も以下のように示されています。

1.2.2 教育委員会・学校における個人情報
 教育委員会・学校においては、例えば以下のようなデータは、基本的に個人情報に該当すると考えられます。個人情報のうち、教育委員会や学校の職員が職務上作成し又は取得した個人情報であって、組織的に利用するものとして教育委員会や学校が保有しているもののうち、行政文書等に記録されているものについては、保有個人情報に該当します。
児童生徒の
 氏名
児童生徒の氏名と紐付く
 学年、組、学籍番号
 住所、生年月日、身長、体重
 出欠席情報
 1人1台端末の操作履歴
 テストの評点
 学習アプリの回答結果、回答時間
※あくまで一例

 

 氏名に紐づく個人に関する情報は、幅広く個人情報に当たることは、前回までにもご紹介したとおりです。

 なお、この留意事項にも記載されていますが、個人情報だから必要な利用や提供を行うことができないというわけではありません。法令の定める所掌事務又は業務を遂行するために必要な場合に限り、適切に特定した利用目的の範囲内で個人情報を利用・提供することが原則とされています 。(個人情報保護法第 61 条第1項、第 69 条第1項)

 

 学校で取り扱う個人情報に関して、かなり丁寧に示されていますので、何か調べたいときには、まずこの文書に当たっていただくのがよろしいかと思います。

www.mext.go.jp

 

(教育データとの関係)  

 上記の留意事項には、教育データの定義などについても記載がありますが、教育データは、児童生徒の教育・学習に関するデータ(デジタルデータ)を指し、大きく分けて①行政系データ、②校務系データ、③学習系データと整理することができるとされています。

 このうち、校務系データや学習系データは、個人情報を含む場合が多いと考えられます。以下は留意事項の抜粋ですが、具体例を見るとイメージが湧きやすいと思いますので、載せておきます。

①行政系データ
国や地方公共団体が統計・調査等により収集・蓄積しているデータで、行政職員や教
職員が取り扱う情報です。
(例)
・児童生徒数・教員数等の情報
・端末整備の状況
・教育に関する統計調査等

② 校務系データ
学校運営に必要な児童生徒の学籍情報等のデータであり、教職員が学校・学級の管理
運営、学習指導、生徒指導、生活指導等に活用する情報です。
(例)
・学籍情報(学年、組、番号等)
・出席簿
・指導要録に記載のある成績情報
・進路指導情報(面談記録等)

③ 学習系データ
ワークシートや学習ドリル、アンケート等の学習に関するデータであり、教職員や児
童生徒が日々の学校における教育活動において活用する情報です。
(例)
・端末の利用ログ
・学習の記録(確認テスト結果等)
・アンケートの回答結果
・活動の記録(動画・写真等)

 

 いろいろ書いてきましたが、児童生徒に関するほぼすべての情報が個人情報に当たりそうですので、具体例はあまり意味がなかったかもしれません。。基本的に児童生徒に関する情報の取得や利用の際には、教育活動に必要かを十分に注意することが必要です。。

 

(ポイント)  

・個人情報は、法令の定める業務を遂行するため、利用目的の範囲内で利用・提供することが原則。

・校務系データ、学習系データは、(氏名と紐づく)個人情報を含むことが多い。