デジタル化に関する法制度の備忘録

行政手続等のオンライン化やキャッシュレス化など、デジタル化に関する法制度について書いてます。

デジタル法令用語:電子証明書

(だいたいの意味)  

 電子証明書は、電子署名を行った者が本人であることを証明するための電磁的記録(電子データ)です。マイナンバーカードでICチップに格納されていたり、商業登記に基づく電子認証では電子ファイルの形式で提供されたりしますが、いずれも目に見えないのでわかりにくいですね。

 加えて、例えについても、紙文書での契約における印鑑証明書に当たると説明されたり(国税庁厚労省HP)、実印に当たると説明されたり(e-Gov電子申請HP)するので、とても混乱するのですが、電子証明書には、公開鍵の情報も通常含まれているということなので、機能としては印鑑登録をした実印で、相手方に届く点では、実印の印影+印鑑証明書に当たるのではないかなあと思っています。。

 

(法令上の定義)

 「電子証明書」の定義については、いくつかの法令で規定が置かれていますが、例えば、戸籍法施行規則(昭和二十二年司法省令第九十四号)では、以下のように定義されています。

第七十九条の三 
④ 前三項の規定により電子署名が行われた情報を送信するときは、当該電子署名に係る電子証明書当該電子署名を行った者を確認するために用いられる事項が当該者に係るものであることを証明するために作成された電磁的記録をいう。以下同じ。)であって次の各号のいずれかに該当するものを併せて送信しなければならない。

 人事院規則一―三八(人事院関係法令に基づく行政手続等における情報通信技術の活用)でも、似たような定義になっています。

 (定義)
第二条
2 この規則において「電子署名」とは、電子署名及び認証業務に関する法律(平成十二年法律第百二号)第二条第一項に規定する電子署名をいう。
3 この規則において「電子証明書」とは、申請等を行う者又は行政機関等が電子署名を行ったものであることを確認するために用いられる事項がこれらの者に係るものであることを証明するために作成する電磁的記録をいう。

 

(その他)

 電子証明書と明示されていませんが、商業登記法では、商業登記に基づく電子証明書に関して、以下のような規定が置かれています。なお、この条文を踏まえた商業登記規則第33条の6では、「電子証明書による証明」との文言が用いられています。

 (電磁的記録の作成者を示す措置の確認に必要な事項等の証明)
第十二条の二 前条第一項各号に掲げる者(以下この条において「被証明者」という。)は、この条に規定するところにより次の事項(第二号の期間については、デジタル庁令・法務省令で定めるものに限る。)の証明を請求することができる。ただし、代表権の制限その他の事項でこの項の規定による証明に適しないものとしてデジタル庁令・法務省令で定めるものがあるときは、この限りでない。
一 電磁的記録に記録することができる情報が被証明者の作成に係るものであることを示すために講ずる措置であつて、当該情報が他の情報に改変されているかどうかを確認することができる等被証明者の作成に係るものであることを確実に示すことができるものとしてデジタル庁令・法務省令で定めるものについて、当該被証明者が当該措置を講じたものであることを確認するために必要な事項

 

 商業登記法の第12条の2ですが、第1項のカッコ内に、「デジタル庁令・法務省令で定める」とあるように、この部分は、デジタル庁と法務省の共管になってるのですね。デジタル庁のHPの法令のページに商業登記法が記載されている理由がわかりました。

 

(参考)

 

 www.digital.go.jp

ura49.hateblo.jp