デジタル化に関する法制度の備忘録

行政手続等のオンライン化やキャッシュレス化など、デジタル化に関する法制度について書いてます。

第212回国会のデジタル関係法(3)官報の発行に関する法律の制定

(官報の発行に関する法律)

 第212回国会で成立した法律のうち、デジタル関係の法改正を見ていくという試みの第3回目ですが、新たに制定された「官報の発行に関する法律」を見てみます。

 こちらの法律は、デジタル臨時行政調査会で検討されていた、官報の電子化に関するものです。

 提出理由は、以下の通りです。

官報の発行主体、官報に掲載すべき事項、官報の発行の方法その他官報の発行に関し必要な事項を定める必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。

 

(デジタルに関する改正の概要)

 法案の概要資料を見ると、「官報の発行の方法等」として、以下の内容が記載されています。

3.官報の発行の方法等
(1) 官報の発行は、官報掲載事項の情報について、改変防止策(電子署名等)を講じた上で、公衆が当該事項を閲覧し得る状態に置く措置(ウェブサイトに掲載)をとることで行う
(2) 官報掲載事項の情報は、内閣府令で定める期間、継続してウェブサイトに掲載する。
(3) 当該期間が経過した後速やかに当該情報を記録した電磁的記録を国立公文書館に移管する。
※法令等については、当該期間が経過した後も、ウェブサイトで情報を公開し続ける。

 

 下線部の通り、官報の発行がウェブサイトに掲載する方法で行われることが定められています。このことで、官報の原本を添付する場合のデジタル化も可能となります。

 

(具体的な条文など)

 官報の発行の方法等については、第4章(第5条〜第11条)で定められています。 

 (官報の発行の方法)
第五条 内閣総理大臣は、官報を発行しようとするときは、内閣府令で定める官報の種別ごとに、内閣府令で定めるところにより、官報を発行する年月日、当該年月日に係る公布等事項及び前条に規定する事項その他内閣府令で定める事項(以下「官報掲載事項」という。)を記録した電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。第十二条及び第十三条第一項において同じ。)を内閣総理大臣の使用に係る電子計算機に備えられた官報掲載事項を記録するためのファイル(以下この条、次条及び第十三条第一項において「官報ファイル」という。)に記録しなければならない。
2 官報の発行は、内閣総理大臣が、官報ファイルに記録された官報掲載事項(以下「電磁的官報記録」という。)について、内閣府令で定めるところにより、当該官報ファイルを電気通信回線に接続して行う自動公衆送信(公衆によって直接受信されることを目的として公衆からの求めに応じ自動的に送信を行うことをいい、放送又は有線放送に該当するものを除く。第十四条第三項において同じ。)を利用して公衆が閲覧することができる状態に置く措置をとることにより行うものとする。
3 官報ファイルを識別するための文字、番号、記号その他の符号は、内閣府令で定める。
4 第二項の自動公衆送信により送信される電磁的官報記録に係る情報は、次の各号に掲げる措置のいずれもがとられたものでなければならない。
一 当該情報を暗号化する措置その他の当該情報の安全性及び信頼性を確実に確保するための措置として内閣府令で定める措置
二 当該情報が改変されているかどうかを確認することができる措置その他の当該情報が内閣総理大臣の作成に係るものであることを確実に示すことができる措置として内閣府令で定める措置
5 第二項の自動公衆送信は、当該自動公衆送信により送信される電磁的官報記録に係る情報について、当該情報を受信した者がその使用に係る電子計算機に備えられたファイルに複写することができるものでなければならない。この場合において、当該ファイルに複写される電磁的官報記録に係る情報は、前項第二号に掲げる措置がとられているものであることを確認するために必要な事項を証明する情報が分離することができない状態で付加されたものでなければならない。

 

 個人的に大事そうと思われる部分に下線をつけてみましたが、官報を電子データで作成すること(電磁的記録)、インターネットで公開すること(公衆送信)、電子署名等の措置をとること、などが定められています。

 それほど長い法律ではないので、関心のある方は、e-Gov法令検索ででも法文を確認してみてください。

 臨時国会のデジタル関係法は、これで終わりです。なんとか年内に記事にできました。

 

(参考)

www.cao.go.jp