(第211回国会が閉会しました)
先週、第211回国会(常会)が閉会となりました。
内閣法制局のHPによると、今年、令和5年の通常国会での内閣提出の法律案は60本で、そのうち58本が成立しています。
デジタル庁の提出法案は、マイナンバー法の改正や、デジタル規制改革一括法がありますが、内閣提出法案のその中で、デジタルに関する法改正について、各方の番号順に見ていきたいと思います。
(地方交付税法等の一部を改正する法律案)
まず初っ端から、デジタルと関係のなさそうな地方交付税法の改正についてですが、改正の概要資料には、以下のような記載があります。
(2)普通交付税の算定内容の改正
○ 地域社会のデジタル化の推進に要する経費を算定する「地域デジタル社会推進費」の期間を令和7年度まで3年間延長
具体的に改正後の条文を見てみると、地方交付税法の附則に、以下のような規定がありました。この下線を引いた部分が、「令和四年度」から「令和五年度から令和七年度までの各年度」と改正されたことで、この「地域デジタル社会推進費」が3年間延長となったということのようです。
(地域デジタル社会推進費の基準財政需要額への算入)
第六条 令和五年度から令和七年度までの各年度に限り、各地方団体に対して交付すべき普通交付税の額の算定に用いる第十一条の規定による基準財政需要額は、同条の規定により算定した額に、次の表に掲げる地方団体の種類、経費の種類及び測定単位ごとの単位費用に次項の規定により算定した測定単位の数値を乗じて得た額を加算した額とする。
(地域デジタル社会推進費とは?)
では、この延長になった「地域デジタル社会推進費」とは何でしょうか?
令和3年版地方財政白書を見ると以下のような説明がありました。
(4)地域デジタル社会推進費の創設
光ファイバの全国的な展開や5Gサービスの開始、ローカル5Gの導入など情報通信基盤の整備の進展を踏まえ、今後これらの基盤を有効に活用し、すべての地域がデジタル化によるメリットを享受できるよう地域社会のデジタル化を推進していく必要がある。
このため、地方公共団体金融機構の公庫債権金利変動準備金を活用して、地域社会のデジタル化を集中的に推進するための経費として、令和3年度及び令和4年度に限り、地方財政計画に新たに「地域デジタル社会推進費」(各年度2,000億円)を計上することとしている。
これに対応し、地方交付税の算定においても新たな費目として「地域デジタル社会推進費」を創設し、算定額は道府県分800億円程度、市町村分1,200億円程度とすることとしている。算定に当たっては、人口を基本とした上で、地域住民を主な対象とする取組に係る指標として、高齢者数及び障害者数を、地域企業を主な対象とする取組に係る指標として、事業所数、一次産業事業所数、中小企業数を用いて、全国平均に対するその割合によって割増しを行うこととしている。
上記の措置を講じるため、「地方交付税法等の一部を改正する法律案」を第204回通常国会に提出している。
要すれば、地方自治体のデジタル化のために、地方交付税を充実するということのようですね。
なお、令和5年度の地方財政対策の資料には、「5 地域のデジタル化の推進」として、以下のような記載がされています。(この裏付けとなるような法改正という理解でよいと思います。)
○「デジタル田園都市国家構想基本方針」等を踏まえ、「地域デジタル社会推進費」について事業期間を延長(令和5年度~令和7年度)するとともに、マイナンバーカード利活用特別分として500億円増額(令和5年度・令和6年度)
(参考)