デジタル化に関する法制度の備忘録

行政手続等のオンライン化やキャッシュレス化など、デジタル化に関する法制度について書いてます。

第211回国会のデジタル関係法(2)医療法、介護保険法の改正

(全世代対応型の持続可能な社会保障制度を構築するための健康保険法等の一部を改正する法律)

 今年の通常国会で成立した法律のうち、デジタル関係の法改正を見ていこうという2回めですが、今回は、閣法16号の「全世代対応型の持続可能な社会保障制度を構築するための健康保険法等の一部を改正する法律」で改正された、医療法と介護保険法について見ていこうと思います。

 この法律案の概要資料(https://www.mhlw.go.jp/content/001056106.pdf)を見ると、以下のようなデータベースの整備に関する記載があります。

 

4.医療・介護の連携機能及び提供体制等の基盤強化【地域における医療及び介護の総合的な確保の促進に関する法律、医療法、介護保険法、高確法等】

③ 医療法人や介護サービス事業者に経営情報の報告義務を課した上で当該情報に係るデータベースを整備する。

 

(医療法人の経営情報のデータベースの整備)

 デジタル技術に対応した規定ぶりというだけで、デジタル関係法というのは、ちょっと違うかなとは思いますが、いずれにしても、規定振りを見てみましょう。

 まず、医療法では、「第六章 医療法人」の中に、「第十節 医療法人に関する情報の調査及び分析等」が新たに設けられ、以下の条文が新設されています。

 

第六十九条の二 (略)
2 医療法人(厚生労働省令で定める者を除く。)は、厚生労働省令で定めるところにより、当該医療法人が開設する病院又は診療所ごとに、その収益及び費用その他の厚生労働省令で定める事項を都道府県知事に報告しなければならない。
3 厚生労働大臣は、医療法人の活動の状況その他の厚生労働省令で定める事項に関する情報を収集し、整理し、及び当該整理した情報(以下「医療法人情報」という。)の分析の結果を国民にインターネットその他の高度情報通信ネットワークの利用を通じて迅速に提供することができるよう必要な施策を実施するものとする。
4・5 (略)

 下線部の「情報を収集し、整理し、及び当該整理した情報の分析の結果を国民にインターネットその他の高度情報通信ネットワークの利用を通じて迅速に提供する」という部分が、データベースの整備に当たる部分と思われます。

 

(介護事業者の経営情報のデータベースの整備)

 次に、介護保険法ですが、「第五章 介護支援専門員並びに事業者及び施設」の中に、「第十一節 介護サービス事業者経営情報の調査及び分析等」が新たに設けられ、以下の条文が新設されています。

 

第百十五条の四十四の二 (略)
2 介護サービス事業者は、厚生労働省令で定めるところにより、介護サービス事業者経営情報を、当該事業所又は施設の所在地を管轄する都道府県知事に報告しなければならない。
3 厚生労働大臣は、介護サービス事業者経営情報を収集し、整理し、及び当該整理した情報の分析の結果を国民にインターネットその他の高度情報通信ネットワークの利用を通じて迅速に提供することができるよう必要な施策を実施するものとする。
4〜9 (略)

 

 規定ぶりは、医療法とほぼ同様になっていますね。

 「データベース」は、法律用語としても使われているのですが、情報の収集・整理という用語だったので、改めて勉強になりました。また、「インターネットの利用」という例も多い中で、「インターネットその他の高度情報通信ネットワークの利用」という、IT基本法以来の規定ぶりもいいですね。いずれも単なる感想ですが。。しかし、115条の44の2というのは、すごい枝番号ですね。。

 

(参考)

www.clb.go.jp

www.mhlw.go.jp 

ura49.hateblo.jp