デジタル化に関する法制度の備忘録

行政手続等のオンライン化やキャッシュレス化など、デジタル化に関する法制度について書いてます。

第211回国会のデジタル関係法(3)地域公共交通活性化法の改正

地域公共交通の活性化及び再生に関する法律等の一部を改正する法律)

 今年の通常国会で成立した法律のうち、デジタル関係の法改正を見ていく3回目ですが、今回は、閣法17号の「地域公共交通の活性化及び再生に関する法律等の一部を改正する法律」について見てみます。

 

 「地域公共交通の活性化及び再生に関する法律」は、人口減少が進む地方部での、バスなどの公共交通の維持・確保のために、原則として全ての地方自治体で地域交通に関するマスタープラン(地域公共交通計画)を策定することや、地域公共交通を活性化するための事業を法定した上で、地方自治体がこれらの事業に関する助成を行う場合の特例などを定めています。

 今回の改正の中に、これらの法定された事業の一つである「道路運送高度化事業」の拡充という内容が含まれており、いわゆる交通DXを進めるような事業が対象に加わっています。

 

(道路運送高度化事業の拡充(交通DXへの支援))

 法案の概要資料(https://www.mlit.go.jp/policy/content/001586767.pdf)を見ると、以下のような記載があります。AIオンデマンドやキャッシュレス決済がどのような規定振りになるのか気になるところですね。

 

「道路運送高度化事業」の拡充
接触型クレジットカード QRコード ・AIオンデマンド、キャッシュレス決済、EVバスの導入 等の交通DX・GXを推進する事業を創設
・国は、インフラ・車両整備に対する社会資本整備総 合交付金を含め、予算面で支援するとともに、(独) 鉄道・運輸機構の出融資や固定資産税の特例措置 により支援できるよう措置。<予算・財投・税制>

 

(具体的な規定ぶり)

 改正後の地域公共交通活性化法の、具体的な規定振りを見てみると以下のようになっていました。

 なお、もともと第7号はあったのですが、今回の改正でイ〜ハを設けて、より詳細な規定をしています。そのうち、交通DXに関するものは「ロ」のため、その部分を抜粋しています。

 

 (定義)
第二条 この法律において次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
七 道路運送高度化事業 道路運送法による一般乗合旅客自動車運送事業(以下「一般乗合旅客自動車運送事業」という。)又は同法による一般乗用旅客自動車運送事業(以下「一般乗用旅客自動車運送事業」という。)について、定時性の確保、速達性の向上、快適性の確保その他の運送サービスの質の向上を図るために行う事業であって、次に掲げるものをいう。
イ (略)
ロ 一般乗合旅客自動車運送事業者又は一般乗用旅客自動車運送事業者が円滑な運送の実施を確保するために行う事業であって、運行経路指示システム(官民データ活用推進基本法(平成二十八年法律第百三号)第二条第二項に規定する人工知能関連技術を活用した情報システムであって運転者に対して目的地までの最も効率的な経路を指示するためのものをいう。)その他の先端的な技術を活用することにより旅客の運送に要する時間(運送の申込みから運送の開始までに要する時間を含む。)の短縮に資するものとして国土交通省令で定める要件を満たす設備を用いるもの
ハ (略)

 

 下線・赤文字の部分が、デジタル化に関係する規定ぶりですが、「人工知能活用技術」というのが、AIのことですね。官民データ活用推進基本法の定義が引用されています。

 また、キャッシュレス決済などは、そのものズバリを規定するのではなく、「先端的な技術を活用することにより・・・時間の短縮に資するもの」という、いわば技術中立的な書き振りになっています。これなら新しい技術も幅広く読めますね。

 

 この法改正を見ていて、ローカル路線バスの旅を思い出してしまいましたが、そういえば、あのバス旅では、スマホどころか、通信機器からして使用禁止でした。。

 

(参考)

www.mlit.go.jp

ura49.hateblo.jp