デジタル化に関する法制度の備忘録

行政手続等のオンライン化やキャッシュレス化など、デジタル化に関する法制度について書いてます。

第211回国会のデジタル関係法(4)日本語教育機関認定法

日本語教育の適正かつ確実な実施を図るための日本語教育機関の認定等に関する法律)

 今年の通常国会で成立した法律のうち、デジタル関係の法改正を見ていく4回目ですが、今回は、閣法22号として提出された「日本語教育の適正かつ確実な実施を図るための日本語教育機関の認定等に関する法律」について見てみます。

 法改正ではなく、新しい法律を制定するものですが、提出理由は以下のようになっています。

日本語に通じない外国人が我が国において生活するために必要な日本語を理解し、使用する能力を習得させるための教育の適正かつ確実な実施を図り、もって我が国に居住する外国人が日常生活及び社会生活を国民と共に円滑に営むことができる環境の整備に寄与するため、日本語教育を行うことを目的とした課程を置く教育機関のうち一定の要件を満たすものを認定する制度を創設するとともに、当該認定を受けた日本語教育機関において日本語教育を行う者の資格について定める必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。

 

 日本に在留する外国人向けの日本語教育の質を確保するための法律のようですね。余談ですが、「日本語教育」という場合は外国人を対象としたもので、日本人を対象とする場合は「国語教育」という使い分けがされていると聞いたことがあります。

 

(法律の概要)

 この日本語教育機関認定法(略称は無いようなので適当です)ですが、

1.日本語教育機関の認定制度の創設

2.認定日本語教育機関の教員の資格の創設

という大きく2つの制度を定めています。

 概要資料(https://www.mext.go.jp/content/230531-mxt_hourei-000030167_1.pdf)を見ると、そのうち1つ目の認定制度の中で、「 文部科学大臣は、認定日本語教育機関の情報を、多言語でインターネットの利用等により公表する。」ということが定められているようです。

 

(具体的な規定ぶり)

 具体的な規定振りを見てみると、以下のようになっていました。

 (認定)
第二条 日本語教育機関の設置者は、当該日本語教育機関について、申請により、日本語教育を適正かつ確実に実施することができる日本語教育機関である旨の文部科学大臣の認定を受けることができる。
2〜4 (略)
5 文部科学大臣は、認定をしたときは、遅滞なく、第二項第一号及び第二号に掲げる事項その他の文部科学省令で定める事項を、インターネットの利用その他の方法により、日本語及び複数の外国語で公表するものとする。

 (情報の公表)
第三条 認定を受けた日本語教育機関(以下「認定日本語教育機関」という。)の設置者は、日本語教育課程の授業科目及びその内容、生徒、教員及び職員の数、授業料その他の当該認定日本語教育機関における学習の環境に関する基本的な情報として文部科学省令で定める事項を、インターネットの利用その他の方法により、日本語で公表しなければならない
2 認定日本語教育機関の設置者は、前項の規定による公表を複数の外国語で行うよう努めなければならない。

 

 一定の基準を満たす日本語教育機関が文部科学大臣の認定を受けた場合に、文部科学大臣日本語教育機関がインターネットで情報の公表しなければならないことが定められています。国(文部科学大臣)の場合は「日本語及び複数の外国語で」とされていて、日本語教育機関の場合は「日本語で」とされているのは、民間事業者である日本語教育機関の負担に配慮がされているものと思われます。

 なお、国のインターネットでの情報公表に関しては、第八条(日本語教育の実施状況に関する評価等)、第六条(変更の届出等)、第十三条(廃止の届出等)、第十四条(認定の取消し)にも同様の規定が置かれています。

 「インターネットの利用その他の方法」というのは、よく見られる規定ぶりですし、デジタル関係法ということではないですが、デジタル化に関する規定は、とりあえず見ていこうという試みですので、ご理解をたまわれればと思います。。

 なお、この法律の施行日は、令和6年4月です。

 

(参考)

www.mext.go.jp