デジタル化に関する法制度の備忘録

行政手続等のオンライン化やキャッシュレス化など、デジタル化に関する法制度について書いてます。

第211回国会のデジタル関係法(13)住民基本台帳法、戸籍法の改正

(地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律)

 今年の通常国会で成立した法律のうち、デジタル関係の法改正を見ていく13回目です。今回は、閣法44号として提出された「地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律」について見てみます。

 提出理由は、以下の通りです。

地域の自主性及び自立性を高めるための改革を総合的に推進するため、地方公共団体等の提案等を踏まえ、地方公共団体に対する義務付けを緩和する等の措置を講ずる必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。

 

 内閣府地方分権改革推進室から提出されているもので、地方分権に関する7本の法律の一括改正が行わてています。

 このうち、住民基本台帳法と戸籍法の改正について見てきたいと思います。

 

住民基本台帳システムの利用事務の拡大)

 住民基本台帳法の改正では、他の法律(所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法、森林法、廃棄物の処理及び清掃に関する法律不動産登記法、表題部所有者不明土地の登記及び管理の適正化に関する法律、農地法、農地中間管理事業の推進に関する法律、森林経営管理法の8法律)に基づく事務について、住民基本台帳ネットワークシステムの利用を可能にする、という改正が行わてています。

 こちらは、住民基本台帳法の別表に、上記の8成立の事務を追加していく改正なので、条文は省略します。なお、別表の根拠になる他の機関への情報提供の規定は、以下のような条文等が置かれています。

 (国の機関等への本人確認情報の提供)
第三十条の九 機構は、別表第一の上欄に掲げる国の機関又は法人から同表の下欄に掲げる事務の処理に関し求めがあつたときは、政令で定めるところにより、第三十条の七第三項の規定により機構が保存する本人確認情報であつて同項の規定による保存期間が経過していないもの(以下「機構保存本人確認情報」という。)のうち住民票コード以外のものを提供するものとする。ただし、個人番号については、当該別表第一の上欄に掲げる国の機関又は法人が番号利用法第九条第一項の規定により個人番号を利用することができる場合に限り、提供するものとする。

 

(戸籍情報連携システムの利用による公用請求での戸籍情報取得)

 戸籍法の改正では、戸籍証明書等の広域交付について、公用請求を行う市町村による利用を可能にする、という改正が行われています。

 概要資料の項目を抜粋しただけなので、よくイメージがわかないと思いますが、これまで、市町村感での戸籍の公用請求では、例えば、空き家の所有者の特定等のため、市
町村が戸籍謄本等の公用請求を行う場合、本籍地の市町村への請求が必要でした。ですが、今回の改正によって、市町村の事務担当部局が、同一市町村の戸籍担当部局に公用請求し、戸籍情報連携システム(令和5年度末に稼動予定)を利用して戸籍情報を取得することが可能となるということです。

 こちらも、公用請求の場合を追加するだけの改正なので、改正条文は省略します。

 

 なお、戸籍情報連携システムに関する条文は、戸籍法の第6章に置かれています。以下、最初の条文のみ抜粋しておきます。

第六章 電子情報処理組織による戸籍事務の取扱いに関する特例等

第百十八条 法務大臣の指定する市町村長は、法務省令で定めるところにより戸籍事務を電子情報処理組織(法務大臣の使用に係る電子計算機(磁気ディスク(これに準ずる方法により一定の事項を確実に記録することができる物を含む。以下同じ。)及び入出力装置を含む。以下同じ。)と市町村長の使用に係る電子計算機とを電気通信回線で接続した電子情報処理組織をいう。以下同じ。)によつて取り扱うものとする。ただし、電子情報処理組織によつて取り扱うことが相当でない戸籍又は除かれた戸籍として法務省令で定めるものに係る戸籍事務については、この限りでない。

 

 システムの利用による情報連携が進めるには、このように書く条文の規定を改正していかないといけないのですね。。

 

(参考)

www.cao.go.jp