デジタル化に関する法制度の備忘録

行政手続等のオンライン化やキャッシュレス化など、デジタル化に関する法制度について書いてます。

第211回国会のデジタル関係法(14)マイナンバー法等の改正

行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律等の一部を改正する法律)

 すでに臨時国会が始まってしまいましたが、今年の通常国会で成立した法律のうち、デジタル関係の法改正を見ていく14回目です。今回は、閣法46号として提出された「行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律等の一部を改正する法律」について見てみます。

 提出理由は、以下の通りです。

国民の利便性の向上及び行政運営の効率化を図るため、個人番号等の利用の促進を図る行政事務の範囲を拡大するとともに、在外公館における個人番号カードの交付等に係る手続の整備、戸籍等の記載事項への氏名の振り仮名の追加、行政機関の長等からの預貯金口座情報等の提供による登録の特例の創設、医療保険の資格確認のために必要な書面の交付等の措置を講ずる必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。

 

 デジタル庁から提出されているもので、マイナンバー法、公金受取口座登録法などの改正が行わています。

 

(改正の概要)

 デジタル庁のHPを見ると、改正の概要として、以下の6点が記載されています。

1. マイナンバーの利用範囲の拡大
2. マイナンバーの利用及び情報連携に係る規定の見直し
3. マイナンバーカードと健康保険証の一体化
4. マイナンバーカードの普及・利用促進
5. 戸籍等の記載事項への「氏名の振り仮名」の追加
6. 公金受取口座の登録促進(行政機関等経由登録の特例制度の創設)

 

 この中で、最も話題に登ったのは、マイナンバーカードと健康保険証の一体化に関する改正ではないかと思います。同じくデジタル庁HPの説明を見ると、以下のような説明が記載されています。

健康保険証を廃止するとともに、マイナンバーカードによりオンライン資格確認を受けることができない状況にある方が、必要な保険診療等を受けられるよう、本人からの求めに応じて「資格確認書」を提供する。

 

 今回の改正で、紙の健康保険証が廃止になり、マイナンバーカードでオンライン資格確認が行われるようになった、というのが、一般的な認識ではないかと思います。「オンライン資格確認」というのは、マイナンバーカードのICチップの搭載情報やや健康保険証記載の記号・番号等によりオンラインで医療保険の被保険者資格を確認するものですが、「オンライン資格確認の導入」自体は、令和元年5月に公布された医療保険制度の適正かつ効率的な運営を図るための健康保険法等の一部を改正する法律(令和元年法律第9号)で、すでに導入されていたもので、今回の改正は、保険証とマイナカードが一体化される、ということがポイントとなります。

www.digital.go.jp

 

(公金受取口座の登録促進)

 紙の健康保険証の廃止と比べるとあまり注目されませんでしたが、今回の改正では、公金受取口座の登録促進のための改正も行われています。

 これは、コロナ禍での特別定額給付金の支給の際の経験を踏まえ創設されたもので、緊急時において迅速かつ確実な給付の実現に資するために、登録の促進を図る目的で導入されたものです。

 具体的には、既に行政機関等に提供されている年金受給口座の口座番号等を公金受取口座としても登録して、その他の給付にも簡易に利用可能とするため、同意又は不同意の回答を求める事前通知(書留郵便)を行政機関等から国民に対して行い、回答がない場合には、同意があったものとして扱う(オプトアウト方式)というものです。

 もちろん、オプトアウトで登録された場合にも、後で変更などは可能となっています。詳しくは、デジタル庁のHPの概要資料をご参照ください。

 

(参考)

shop.gyosei.jp