デジタル化に関する法制度の備忘録

行政手続等のオンライン化やキャッシュレス化など、デジタル化に関する法制度について書いてます。

第213回国会のデジタル関係法(1)4月第1週までの状況

(第213回国会の状況)

 年始から手術をしたりしていて、少しブログの更新を休んでいたところ、あっという間に4月になっていました。。時間が経つのは早いですね。。

 すでに今国会では3月28日に令和6年度予算が成立し、法案の審議が本格化してきています。

 

 改めて国会の大まかなスケジュールについてですが、毎年、通常国会は1月から6月まで開会されます。国会は立法機関ですが、予算案の審議も重要な役割でして(予算も法の一形式というのが通説ですが、それは置いておくとして)、3月までに翌年度の予算が成立しないと行政運営等に支障をきたすため、2月中に衆議院での予算案審議を終え、3月中に参議院での予算審議を終えるというのが、例年の概ねの流れになります。

 その後、3月には衆議院で法案審議が始まり、4月以降、両議院での法案審議が本格化してくるわけです。(一般的なスケジュールで、税法などは予算案と並行して審議されます。)

 だらだらと書いてしまいましたが、国会のスケジュールとググってみると、以下のような説明をしているHPがありました。とても分かりやすいので、1月から6月までの部分を引用させていただきます。

 

1
常会を召集し、開会式を行います。内閣総理大臣を始めとする閣僚の演説や、与野党による代表質問もあります。

2
内閣が提出した来年度予算案の審議を行います。まず衆議院から始まり、議決すると参議院の審議に移ります。

3
法律案や条約といった議案の審議に入ります。2022年の常会では、合計78件の法律案が成立しました

6
参議院に設置された調査会が、政策提言や法律案に関する報告書を提出します。そして150日間の会期を終えると閉会です。延長する場合は、その都度日数を決めて延長します。

国会の年間スケジュールは?会期と議員活動について解説 | スマート選挙ブログ (smartsenkyo.com)

 

 

(プラットフォーム事業者の規定ぶりは?)

 これまで、このブログでは国会が閉会になった後に、まとめてデジタルに関する法律を見てきたのですが、けっこう大変なので、今回は少し早めに予習的に状況を見てみたいとおもいます。

 まず、内閣法制局のHPで確認してみると、令和6年の通常国会での内閣提出法案は61本で、すでに10本が成立していました。。今日は予習なので、あまり立ち入らず、個人的に気になるものをいくつか見てみようと思います。

www.clb.go.jp

 

所得税法等の改正

 まず例年、法律第1号として成立する所得税法等の改正ですが、提出理由を見てみると気になる記載がありました。

賃金の上昇が物価高に追い付いていない国民の負担を緩和し、・・・・並びに経済のグローバル化を踏まえた特定プラットフォーム事業者を介して行う電気通信利用役務の提供に関する消費税の課税の特例の創設を行うほか、・・・・。

 

 プラットフォーム事業者というのは、おそらくア◯ゾンとかのことですよね。内容面は理解できるか不安ですし、デジタル関係というわけではないかもしれまえんが、いずれにしても、どんなこの規定ぶりなのかが気になるところです。次回に見てみようとおもいます。

 

デジタル社会形成基本法等の改正

 あとひとつ、間違いなく「デジタル関係法」と思われる、デジタル庁の提出法案は、

今回1本で、「情報通信技術の活用による行政手続等に係る関係者の利便性の向上並びに行政運営の簡素化及び効率化を図るためのデジタル社会形成基本法等の一部を改正する法律案」となっています。

 とても長い名称ですね。。行政手続のデジタル化を定めた「デジタル手続法」の目的を定める第1条には、「手続等に係る関係者の利便性の向上、行政運営の簡素化及び効率化並びに社会経済活動の更なる円滑化を図り、」とあるので、おそらくデジタル手続法とデジタル社会形成基本法の療法が改正されるのだろう、と推察します。

(目的)
第一条 この法律は、デジタル社会形成基本法(令和三年法律第三十五号)第十七条及び官民データ活用推進基本法(平成二十八年法律第百三号)第七条の規定に基づく法制上の措置として、国、地方公共団体、民間事業者、国民その他の者があらゆる活動において情報通信技術(デジタル社会形成基本法第二条に規定する情報通信技術をいう。以下同じ。)の便益を享受できる社会が実現されるよう、情報通信技術を活用した行政の推進について、その基本原則及び情報システムの整備、情報通信技術の利用のための能力又は利用の機会における格差の是正その他の情報通信技術を利用する方法により手続等を行うために必要となる事項を定めるとともに、民間手続における情報通信技術の活用の促進に関する施策及び情報通信技術の効果的な活用の推進に関する施策について定めることにより、手続等に係る関係者の利便性の向上、行政運営の簡素化及び効率化並びに社会経済活動の更なる円滑化を図り、もって国民生活の向上及び国民経済の健全な発展に寄与することを目的とする。

 

 デジタル庁のHPを見ると、具体的には、「ベースレジストリ」と呼ばれる公的なデータベースを構築するための改正などが、行われるようですが、こちらは、成立後にまた改めて見てみたいと思います。

 

(参考)

www.digital.go.jp