デジタル化に関する法制度の備忘録

行政手続等のオンライン化やキャッシュレス化など、デジタル化に関する法制度について書いてます。

学校とデジタル化:似てなければいいのか?(著作権(7))

(似てなければ複製といえない?)  

 デジタルのイラストなどは、基本的にそのままコピーできてしまうので、無断で使用すれば、明らかに著作権(複製権)を侵害することになりますが、オリジナルのイラストを真似して書きなおせばいいのでしょうか? それが、オリジナルとかけ離れていたら、どうなのでしょう?

 複製と言えるためには、類似性(創作的表現が同一又は類似であること)や依拠性(既存の著作物をもとに創作したこと)が認められる必要があるとされていますが、この類似の判断というのは、なかなかわかりにくいです。。

 「著作権 類似性」で画像検索すると、いくつか例を見ることができると思いますが、素人目にはすごく似ているような気がしても、類似性が認められていなかったりします。以下のブログで、実際のイラストと判断事例を見ることができますので、ご感心のある方は、ご覧になってみてください。

イラストや画像の著作権侵害の判断基準は?どこまで類似で違法?- 咲くやこの花法律事務所

 

(むかし、四国某県の郡部で消防署(消防団?)のシャッターに、「火の用心 ◯◯小学校」などの文字とともに、ド◯◯もんとうま◯棒のキャラクターの中間のような絶妙な絵が書かれているのを見つけたことがありますが、あれは著作権を侵害していたのでしょうか。。)

 

(イラストを変えてしまえばいい?)  

 では、もともとのイラストを変えて、類似性をなくせばいいでしょうか?

 これも、結局上記の「類似性」が全くない程度になっていればいいのでしょうけど、、偶然似てしまった場合はともかく、オリジナルをパクってしまうのは、類似性があるとされた場合に問題になりますので、結論としてはやめとくのが穏当と思います。。

 余談ですが、偶然ゆるキャラがアニメのキャラと似てしまった場合に、自治体の側がキャラをリニューアルしたことがありましたね。。blog.goo.ne.jp

 

 なお、著作者人格権として、著作者には、同一性保持権(自分の著作物の内容又は題号を自分の意に反して勝手に改変されない権利(著作権法第20条第1項))がありますので、そっくりの形でイラストの改変をすると、この同一性保持権を侵害することにもなります。

 同一性保持権については、彦根市ゆるキャラの「ひこにゃん」が訴訟にまで発展してましたが、、深入りしないでおきます。。

 

(ポイント)  

・完全なコピーでなくても、類似性があれば著作権侵害になる。

・イラストを改変すると著作者人格権(同一性保持権)の侵害になる可能性もある。

 (オリジナルをちょっと変えて使えばいい、という考えは危険。)

 

 著作権については、ここで一区切りにします。次は、学校で扱う個人情報のことを見てみたいと思います。