デジタル化に関する法制度の備忘録

行政手続等のオンライン化やキャッシュレス化など、デジタル化に関する法制度について書いてます。

デジタル手続法について(3)処分通知等のデジタル化

(処分通知等のデジタル化)

 デジタル手続法の第7条では、処分通知等について、オンライン化を可能とする規定が置かれています。具体的な条文は、以下のようになっています。

 

(電子情報処理組織による処分通知等)

第七条 処分通知等のうち当該処分通知等に関する他の法令の規定において書面等により行うことその他のその方法が規定されているものについては、当該法令の規定にかかわらず、主務省令で定めるところにより、主務省令で定める電子情報処理組織を使用する方法により行うことができる。ただし、当該処分通知等を受ける者が当該電子情報処理組織を使用する方法により受ける旨の主務省令で定める方式による表示をする場合に限る。

2〜5 (略)

 

 ある法律で書面での処分通知等を行うと定められている場合であっても、デジタル手続法第7条の規定に基づいて、省令等で定めることで、処分通知等のオンライン化ができるようになる、というのは、前回ご紹介した第6条の申請等の場合と同様です。

 なお、「処分通知等」については、第3条第9号に定義がありますので、正確にはそちらを見ていただければと思いますが、大雑把に言えば、国等の行政機関から、国民や事業者に対して行う通知のことです。国民や事業者から行政機関に対して行われる「申請等」に対応するものとイメージしてもらうと分かりやすいかと思うのですが、そのような申請等への回答のような場合のほか、一方的に納付書等を行政機関から送りつけるような場合もあります。

 前回ご紹介した「行政手続等の棚卸調査」では、「申請等に基づく処分通知等」「申請等に基づかない処分通知等」の2種類に分けていますので、申請等への回答の場合と、一方的に行政が行う場合があるんだなと意識しておくといいかと思います。

 

(申請等のデジタル化との違い)

 処分通知等に関するデジタル化の定めが、申請等の場合と異なる点もあります。第7条第1項ただし書(ただし、・・と書いてある部分の文章を、ただし書と呼びます。念のため。)の部分ですが、ここで、処分通知等をオンラインで行う場合には、相手方の承諾が必要とされています。これは、処分通知等を受ける側がオンラインを希望しない場合や、そもそもパソコン等を持っていない場合もあることから、このような規定が置かれているわけです。申請等のデジタル化を定める第6条には、このような規定はありませんでした。(言うまでもないかもしれませんが、オンラインでの申請等を行うのは、(オンラインの方法を希望する)国民や事業者の側なので、申請等の場合には、相手方の同意の要件は不要です。)

 

 ところで、行政機関の側からの処分通知については、カードやシールが交付される場合もあるので、少し申請等とは事情が違う部分があるかもしれないですね。キャッシュレス法案の質疑で、車庫証明のシールの交付を郵送でも可能にしているという答弁を、警察庁の偉い人がされていましたが、オンライン化以外にも、利便性向上の方策がとられているのですね。デジタル化に関する法制度を扱うという趣旨とは、ずれるのかもしれませんが、それはそれで、とても素晴らしいことと思いました。

 

(参考)

www.digital.go.jp

cio.go.jp

 

ura49.hateblo.jp