デジタル化に関する法制度の備忘録

行政手続等のオンライン化やキャッシュレス化など、デジタル化に関する法制度について書いてます。

デジタル法令用語:オンライン教育(メディアを利用して行う授業)

(オンライン教育)  

 インターネットなどを利用したオンライン教育について、法令上は「オンライン教育」の用語はないため、定義を調べてみたところ、「授業を、多様なメディアを高度に利用して、当該授業を行う教室等以外の場所で履修させる」との規定ぶりが、学校教育法施行規則にありました。

◯学校教育法施行規則(昭和二十二年文部省令第十一号)
第七十七条の二 中学校は、当該中学校又は当該中学校が設置されている地域の実態に照らし、より効果的な教育を実施するため必要がある場合であって、生徒の教育上適切な配慮がなされているものとして文部科学大臣が定める基準を満たしていると認められるときは、文部科学大臣が別に定めるところにより、授業を、多様なメディアを高度に利用して、当該授業を行う教室等以外の場所で履修させることができる

 

 オンライン教育というと、正規の授業以外も含め様々な形骸のものが含まれるため、厳密には、この規定は「遠隔授業」の規定らしいのですが、一般的にオンライン教育と言われているインターネットを活用した授業のことを指していると考えても差し支えないと思います。

 

(メディアを利用して行う授業)

 より端的に、「メディアを利用して行う授業」という規定ぶりで、オンライン教育を表しているものもありました。こちらも「多様なメディアを高度に利用」という規定ぶりは同様になっています。

電気通信主任技術者規則(昭和六十年郵政省令第二十七号)
(認定の基準)
第二十七条 法第四十六条第三項第二号の認定の基準は、次の各号に掲げるとおりとする。
 七 授業は次のいずれかに該当するものであること。
 イ 講義、演習、実験、実習若しくは実技のいずれか若しくはこれらの併用による方法により行う授業又は当該授業の内容を電気通信回線を通じて送信すること等により当該授業を行う教室等以外の場所で当該授業を同時に受けさせる方法により行う授業(以下「面接等授業」という。)
 ロ 多様なメディアを高度に利用する方法その他のイに掲げる方法以外の方法により行う授業であつて、面接等授業に相当する教育効果を有するもの(以下「メディアを利用して行う授業」という。

 

 ここまで紹介したものには、「メディア」自体の定義はおいていないのですが、弁理士法施行規則では、メディアの定義が置かれていましたので、最後に紹介します。

弁理士法施行規則(平成十二年通商産業省令第四百十一号)
第二十一条のニ
4 講義については、多様なメディア(放送、インターネットその他の高度情報通信ネットワーク及び電磁的記録(法第七十五条に規定する電磁的記録をいう。以下同じ。)に係る記録媒体をいう。)を高度に利用して、実務修習の実施場所以外の場所で修習させることができる。

 「放送、インターネットその他の高度情報通信ネットワーク及び電磁的記録に係る記録媒体」どこで切れるのかわかりにくいのですが、放送、情報通信ネットワーク、電磁的記録媒体が、メディアとされているようです。

 マスメディアというとテレビなどの放送が代表的なものかなと思いますが、多様なメディアを「高度に利用」ということで、放送に加えて、インターネットや電磁的記録媒体など、コンピュータを使った高度な方法が規定されているものと思われます。 

 

 いずれにしても、インターネット等の利用を規定する際には、「多様なメディアを高度に利用する」というのがポイントになっているようですね。