デジタル化に関する法制度の備忘録

行政手続等のオンライン化やキャッシュレス化など、デジタル化に関する法制度について書いてます。

キャッシュレス法が成立しました(2)

(前回のつづき)

 先日、デジタル技術を活用して、国への納付金の支払い方法の多様化を進める「キャッシュレス法」が成立しました。法律の内容は、何となく前回紹介しましたが、私も含め、実際に条文を見た人は、十中八九いないのではないかと思います。

 そこで、せっかくの機会なので、勝手にデジタル庁を応援する気持ちも込めて、このキャッシュレス化法の実際の条文を見てみようと思います。

 

(法律名など)

 まず、正確な法律の名称は、「情報通信技術を利用する方法による国の歳入等の納付に関する法律」です。ギリギリ分かりますね。情報通信技術っていうところなんかは、法律用語っぽくて、いいですね。声に出してみたくなります。

 ちなみに、デジタル庁のHPで法律の趣旨を見てみると、以下のように書いてあります。

 

国の歳入等の納付に係る関係者の利便性の向上を図るため、国の歳入等の納付の方法について定めた他の法令の規定にかかわらず、情報通信技術を利用して自ら納付する方法及び情報通信技術を利用して指定納付受託者に委託して納付する方法による国の歳入等の納付を可能とするために必要な事項を定める。

 

 これは、正直よく分かりませんね・・。と思ったら、別の高名な方のブログでも、「なんのこっちゃ!」という感想とともに解説が書かれてました。おそらく、デジタルを活用したキャッシュレス化を説明する下線の部分が難解なんでしょうねえ。。

 でも、以下で書きますが、デジタル庁のHPに説明がありますので、おそらく大丈夫でしょう。

 

(情報通信技術を利用して自ら納付する方法)

 デジタル庁HPを見ると、「情報通信技術を利用して自ら納付する方法による納付(インターネットバンキング等)」と、カッコ書きで答えが分かりやすく書いてあります。インターネットバンキングというのは、自分で銀行のHP(〇〇ダイレクトとか)から、振り込みなどを行うものですよね。個人的には、振込みを銀行にお願いしてる感じで、自ら納付してるイメージがあまりないんですが。。店舗での振込みも含め、銀行を使って自分が納付してると思えばいいでしょうかね。

 この方法に関する条文は以下の通りです。

 

第三条 各省各庁は、歳入等の納付のうち、当該歳入等の納付に関する他の法令の規定において収入印紙をもってすることその他の当該歳入等の納付の方法が規定されているもので主務省令(裁判所の事務に係る歳入等にあっては、最高裁判所規則。以下この章から第四章までにおいて同じ。)で定めるものについては、当該法令の規定にかかわらず、当該歳入等を納付しようとする者が自ら納付する方法であって、電子情報処理組織を使用するものその他の情報通信技術を利用するもので主務省令で定めるものにより当該歳入等の納付を行わせることができる

 

 何だか取り返しのつかないことをしてしまったような気がします。キャッシュレスの部分のフレーズさえ分かってれば、読めるかなと思ったんですが、そうでもないですね。が、最初と最後の赤字部分だけ見てみれば、各省庁が、省令で定めれば、(インターネットバンキング等の)デジタルを活用した方法で納付金を納付させることができる、と分かりますかね。分かったことにしましょう。。

 

(情報通信技術を利用して指定納付受託者に委託して納付する方法)

 次、「情報通信技術を利用して指定納付受託者に委託して納付する方法による納付(クレジットカード、電子マネー、コンビニ決済等)」についても、HPでは、カッコ書きで、分かりやすく示してくれています。

 「指定納付受託者」というのが、クレジットカード会社や「〇〇ペイ」などの会社のことですね。

 この方法に関する条文は以下の通りです。

 

(指定納付受託者に委託して納付する方法による納付の実施)

第四条 各省各庁は、歳入等の納付で主務省令で定めるものについては、次条の規定により指定納付受託者(第八条第一項に規定する指定納付受託者をいう。以下この章において同じ。)に当該歳入等の納付を委託して納付する方法により当該歳入等の納付を行わせることができる。この場合において、当該歳入等の納付に関する他の法令の規定において収入印紙をもってすることその他の当該歳入等の納付の方法が規定されているものについては、当該他の法令の規定は、適用しない。

 

 同じく長文です。でも、こちらの方が、各省庁が、クレジットカード会社や「○○ペイ」等の「指定納付受託者」に納付を委託する方法が認められていることが、やや分かりやすいでしょうか。

 

 このほか、「指定納付受託者」に関する条文を見れば、この法律の概要を掴むには、だいたい十分じゃないかと自分勝手に思ってるんですが、すでに長くなってしまったので、次回につづきます。

 

(参考)

www.digital.go.jp

www.taro.org