(前回のつづき)
デジタルを活用して、国への納付金の支払い方法の多様化を進める「キャッシュレス法」について、実際の条文を紹介してみようと試みたのですが、結構とんでもないことになってしまいました。
ですが、乗りかかった船なので、勝手にデジタル庁を応援する気持ちを忘れないよう、もう少し、キャッシュレス法の条文を見てみます。
(指定納付受託者)
デジタル庁HPでは、「指定納付受託者(クレジットカード、電子マネー、コンビニエンスストア等の事業者)」との表題のあとに、「各省各庁の長は、委託を受けて国に歳入等を納付する事務を適切かつ確実に実施することができる者として政令で定める者を、その申請により、指定納付受託者として指定することができることとする。」とされています。
具体の条文は、以下の通りです。
(指定納付受託者の指定等)
第八条 各省各庁の長は、歳入等を納付しようとする者の委託を受けて国に当該歳入等を納付する事務(第五項、次条及び第十一条第一項第三号において「納付事務」という。)を適切かつ確実に実施することができる者として政令で定める者を、その申請により、主務省令で定めるところにより、指定納付受託者として指定することができる。
2〜5 (略)
前回までのおさらいですが、キャッシュレス法によって、各省庁がクレジットカード会社やコンビニなどを「指定納付受託者」として指定して、キャッシュレスでの納付に関する事務を委託できるようになるのでした。ですが、クレジットカード会社やコンビニであれば、どこでも自由に選べるわけではなくて、まず、納付事務を適切・確実に実施できる事業者の要件を政令で定めておいて、その政令で定められた要件を満たす事業者からの申請を踏まえて、各省庁は、「指定納付受託者」を指定する、という流れになっているのが、この条文のポイントですかね。どんな要件になるのか、早く政令が見てみたいですね。
(余談ですが、政令というのは、内閣が定めるルールです。省令は、各省庁で定めるルールなので、政令の方が上位になります。こういう法学入門的なことは、いらないですかね。。(笑))
ちなみに、省略した2項から5項では、指定を行った場合の指定納付者の名称等の公示や、名称変更等があった場合の届出の手続きなどが定められています。これは省略していいでしょう…?
(その他の規定)
以上で、デジタル庁のHPにある、「キャッシュレス法の概要」に対応する主な条文を実際に見て確認することができたかなと思います。
このほかには、支払いをカード会社等に委託した日と実際にカード会社等が国に納付した日にタイムラグが生じる場合には、委託した日に納付したものとみなすとか、カード会社等が納付をしない場合(どんな場合だ?)の規定などが置かれていて、国会の審議でも、これらに関する確認の質問が数多くなされていました。
キャッシュレス法のことは、これで一区切りにしますが、納付手続き以外の行政手続についてのオンライン化を定めている「デジタル手続法」なども、デジタル庁の所管法ですし、また見てみようかなと思っています。でも、その前に地方自治法のキャッシュレス化の確認をしますね…。
(参考)