デジタル化に関する法制度の備忘録

行政手続等のオンライン化やキャッシュレス化など、デジタル化に関する法制度について書いてます。

行政手続等の棚卸調査(R3.3時点)が公開されました(1)

 (行政手続等の棚卸調査の公表)

 以前にもご紹介しましたが、デジタル手続法第16条第2項の規定に基づいて、各省庁の所管する法令に基づく行政手続のオンライン化等の状況のフォローアップを行っている「行政手続等の棚卸調査」が、先月、公開されていました。例年は3月頃に行われている公表が遅れていたので、心配していたのですが、いつの間にか公表されていましたね。。いずれにしましても、まずは、デジタル庁に移管されて初の公表ということで、お慶び申し上げたいと思います。

 今回公表された調査結果ですが、令和2年度が調査対象期間となっています。

 なお、棚卸調査については、以下の記事もご参照いただければと思いますが、国の行政機関(24府省)を対象に、各府省が所管する法令において規定されている全手続(約6万件)について、手続名、根拠法令、手続類型、手続主体、受け手、オンライン化の状況、手続件数等の回答を求めるような調査となっています。

 

ura49.hateblo.jp

 

(日本の行政手続6万件について知る)

そもそも行政手続って何?

 行政手続の定義についてですが、棚卸調査の解説資料には、「「手続」とは、申請、処分通知、交付、縦覧、作成、保存等を指します。」と記載されています。国の出先機関や市役所などの行政機関に対する申請や届出、行政機関からの処分通知、許可証の交付などと言えば、よりイメージがしやすいでしょうか。なお、行政手続等の「等」の部分は、法令で規定される、民間同士の手続が含まれています。

 

6万件の手続の内訳

 6万件の手続には、国の手続と地方自治体の手続が含まれていますが、国と民間との間の手続が約3万件、地方と民間との間の手続が約1万件となっています。残り2万件は、国と地方の間の手続や民間同士の手続、縦覧などが含まれています。

 棚卸調査のHPでは、エクセル表が公開されており、この6万件の行政手続等の根拠法令、根拠条文、手続類型、手続主体、受け手、オンライン化の状況、オンライン納付の可否、手続件数等がまとめられています。このため、この調査によって、我が国の行政手続等の全体像を把握することができます。(詳しくは、今回調査の概要資料をご参照ください。参考欄にリンクを載せておきます。)

(R3棚卸調査概要より抜粋)

 

今回調査の特徴

 今回公開された概要資料では、以下のような特徴が示されています。

(1)行政手続等の全体像
 法令等に基づく手続は、全体で約64,000種類、年間25億件以上。
 年間1万件以上の手続は、種類数ベースでは全体の3.7%だが、件数ベースで全体の99%。

(2)オンライン化の実態
 年間25億件を超える手続のうち、オンラインで実施できる手続は、種類数ベースで全体の31%、件数ベースで全体の85%。うち国の手続でオンラインで実施できる手続は、種類数ベースで37%、件数ベースで92%。

 オンラインで実施できる手続件数のうち、実際にオンラインで実施されている手続件数の割合は68%。うち国の手続で実際にオンラインで実施されている手続件数の割合は66%。

 

 経年比較が載っていないのは、回答の精度に問題があるなどで、あまり比較してほしくないということなのかもしれませんが、、オンライン化について、前年の調査結果を比較してみると以下のようになります。オンライン化ができる手続は、着実に増えてきているようです。

◯オンラインで実施できる手続

 種類数ベース 14%(R2.3)⇒ 31%(R3.3)

 件数ベース  76%(R2.3)⇒ 85%(R3.3)

◯うち国の手続でオンラインで実施できる手続

 種類数ベース 16%(R2.3)⇒ 37%(R3.3)

 件数ベース  88%(R2.3)⇒ 92%(R3.3)

 

 基本的な調査結果などは、概ね以上なのですが、少し補足的なことを、次回備忘的に記しておきたいと思います。

 

(参考)

www.digital.go.jp