デジタル化に関する法制度の備忘録

行政手続等のオンライン化やキャッシュレス化など、デジタル化に関する法制度について書いてます。

公金受取口座の情報提供開始

(公金受取口座の自治体への情報提供が開始)

 昨日、発言概要がアップされた9月9日の河野デジタル大臣の会見で、デジタル庁から地方自治体への公金受取口座の情報提供を10月から開始するとの発表がされました。年度内を予定していたものを、前倒しで開始するということです。

 該当部分は以下のとおりです。

まず、公金受取口座の情報提供を自治体に向けて始めます。公金受取口座の登録をしていただいております。公金を今後受け取るための口座をマイナンバーと合わせて登録をしていただくということで、給付金など、あるいは税の還付、年金、様々な諸手当、公的給付を支給する際に、これを利用して速やかに受け取ることができる仕組みです。

3月から登録をしていただいておりますが、今、約1,400万件登録をしていただいています。この登録いただいた公金受取口座の情報をデジタル庁から給付をする行政機関に提供をする。今年度中というのを目標にシステム整備をしておりましたが、今年度中とか言わずに、もう前倒しを大幅にやります。10月11日から情報の提供を開始いたします
本日、デジタル庁から給付制度を持っている所管省庁、それから都道府県に対して事務連絡を出します。それぞれの所管省庁からも、自治体宛てに情報を提供してもらう予定になっていますので、使う準備ができた自治体から順次利用していただくことができるようになります。

 

(公金受取口座とは?)

 公金受取口座とは、給付金などを受け取るための預貯金口座のことです。1人につき1口座を、あらかじめ「マイナポータル」に登録することで、給付金などを申請する場合に、口座情報の入力や通帳の写しなどを提出する必要がなくなり、手続がスムーズになります。

 今回の発表があった、デジタル庁から地方自治体への公金受取口座の情報提供の提供は、マイナポータルにすでに登録されている登録口座の情報を、自治体が利用できるように提供するということですね。国民が登録した公金受取口座の情報は、デジタル庁で運用しているマイナポータルに登録されていますが、実際に給付金の支給の事務を担当するのは、各自治体ですので、このようなデジタル庁から地方自治体への情報提供という手続を踏む必要があるわけですね。

 なお、公金口座の登録制度については、以前にご紹介した、2021年のデジタル改革関連法の改正のときに成立した「公金受取口座登録法」で定められています。登録口座の情報提供に関する条文は以下のとおりです。

(公的給付支給等口座登録簿に関する情報の提供の要求)
第九条 行政機関の長等は、公的給付の支給等に係る金銭の授受をするために必要があるときは、内閣総理大臣に対し、公的給付支給等口座情報の提供を求めることができる

 

 余談ですが、デジタル庁の長は、内閣総理大臣です。デジタル庁に、デジタル大臣を置くことができることとされています。(デジタル庁設置法第6条、第8条)

 

(マイナポータル、マイナンバー)

 この公金受取口座を登録するマイナポータルですが、これは、政府(デジタル庁)が運営しているオンラインサービスのことで、マイナンバーカードとは違います。

 マイナンバー、マイナンバーカード、マイナポータルの関係については、河野大臣の「日本を前に進める」(PHP新書、201頁)に、以下のように、とても分かりやすく記載がありましたので、引用させていただきたいと思います。

 

マイナンバーとマイナンバーカードとマイナポータルの関係がよくわからない、という声を聞きます。マイナンバーは、あなた固有の番号で、行政組織が持っているさまざまなデータを 連携させるために使います。 マイナンバーカードはあなたのマイナンバー情報を明記した本人確認書類であるとともに、オンラインであなた本人を証明する情報を暗号化し、ICチップに格納したものです。マイナポータルとは、マイナンバーによるあなただけのオンライン手続き窓口です。

 

 今回はとりあえず以上です。しかし、改めて関係法律を確認していて気づいたんですが、公金受取口座の登録簿も「磁気ディスク」で調製されるんですね。。

 

(参考)

www.digital.go.jp

ura49.hateblo.jp